【視察報告】観光施策・オーバーツーリズム対策について2024年8月8日 京都市


はじめに

横浜市においては、宿泊を伴う滞在型観光に課題があり、オーバーツーリズムには至っていない状況ではありますが、観光先進都市である京都市から学ぶ点は多くあります。どのような取り組みを行ってきたのか、また現在の課題点をどのように捉えているのかを伺いました。

京都市役所本庁舎の正面玄関


視察先

  • 視察場所:京都市役所
  • 説明担当者:京都市産業観光局観光MICE推進室
改修された京都市役所本庁舎内部の様子

京都市役所本庁舎 漆塗蒔絵エレベーター扉


視察内容

  • 京都観光の魅力
  • 京都観光の意義と効果
  • 観光客数と観光消費額の動向
  • 観光課題とその対策
  • 観光モラルの実践
  • これからの京都観光がめざすもの

視察時の資料はこちら

また、観光政策の見える化冊子「みんなでつくる京都観光」を用いて多くの説明をいただきました。

▽「みんなでつくる京都観光」京都市HP

https://www.city.kyoto.lg.jp/sankan/cmsfiles/contents/0000316/316075/sassi2.pdf


質疑応答

質疑応答の一部をご紹介します。

質問

「市長が変わったことで、施策に変化や影響はありましたか?」

回答

「根本的なところに変化はありません。松井市長になり、情報発信の強化を進めることになりました。これまであまり活用してこなかったSNSの活用に力を入れていますが、単に『京都に来てください』という誘客だけでなく、京都に来る際のマナーやモラルについても情報発信を行っていきます。」


質問

「マナーやモラルについての情報発信の効果は感じられていますか?」

回答

「市民の方が実感するまでには至っていません。よく聞かれる質問ですが、計量的な計測が難しいです。例えば、ゴミのポイ捨てや市バスでの大声、舞妓さんを追いかける行為など、問題が多岐にわたります。」


質問

「観光の分散化について、民間のガイドブック出版社やテレビ局などの情報発信側との情報共有はされていますか?」

回答

「京都市は6ヶ所の拠点を持っており、そこでメディア対策を行い情報提供をしています。時期の分散についても、ここで情報を提供しています。」


感想・考察

説明資料『みんなでつくる京都観光』という冊子が非常に良く作られていることに感心しました。観光の意義と効果は、観光客や観光事業者だけでなく、京都の街の発展を支え、市民の暮らしを良くするという「三方よし」の考え方に根ざしています。さらにそれを未来へつなげるために「持続可能な狭路観光」を目指しています。こうした理念のもと、「光」の部分だけでなく、課題にも市民の理解や協力を得る工夫と努力が積み重ねられてきています。対応してくださった職員の方が「持続可能な観光推進係長」という肩書を持つことからも、目指しているものが明確であることを感じました。

横浜市は、観光地と居住地が入り組んでいる地域が少なく、オーバーツーリズムと呼べるほどの課題はまだ見られません。しかし、今後、横浜の観光が何を目指すのか、その根幹を明確化することで、共有されるべき取り組みが増えるのではないかと考えます。


執筆者:横浜市会議員 くしだ久子

視察時に挨拶するくしだ久子


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