横浜市長へ令和8年度予算編成に対する要望書を提出しました。
日本維新の会横浜市会議員団・無所属の会は、当会派の基本理念に基づき、令和8年度予算編成に対する政策提言を行うべく、2025年10月21日(火)に市長へ要望書を手渡しました。

本要望書は、横浜市において山積する課題に対して、わが会派がこれらに真摯に向い、解決すべき課題に対する重点的な政策提言を、令和8年度の予算編成へ向けて行うものです。
以下、要望書の内容をそのまま掲載します。
令和8年度 予算要望
宛先 横浜市長 山中 竹春 様
<はじめに>
横浜市は今、歴史的な転換点に立っている。少子高齢化の加速、社会保険料負担の増大、そして人口減少社会の本格的な到来という構造的課題に直面する中、従来の延長線上の政策では、もはや持続可能な都市経営は困難である。加えて、AI・デジタル技術の急速な進展は、行政サービスの在り方そのものを根底から変革する可能性を示している。
令和8年度は、GREEN×EXPO2027開催を迎える重要な年度であるとともに、横浜市が真に持続可能な成長軌道へと舵を切ることができるかが問われる正念場である。同時に、国政レベルでは我が党が主導して多極成長型の礎となる副首都構想や社会保険料を下げる改革が進められており、本市においても埋没することなく都市の成長を目指すと共に地方自治体として医療費適正化をはじめとする実効性ある施策展開が強く求められている。
日本維新の会横浜市会議員団・無所属の会は、こうした時代の要請に応えるべく、「改革なくして成長なし」との信念のもと、横浜市が抱える課題に正面から向き合い、次世代に負担を先送りしない責任ある政策を提言する。
本要望書は、横浜市の未来を切り拓くため、5つの重点テーマに基づく具体的施策を提示するものである。市長におかれては、これらの提言を真摯に受け止め、令和8年度予算編成に反映されることを強く求める。
5つの重点テーマ
- 成長戦略とイノベーション
- 徹底した市政改革
- 次世代への投資
- 強靭で持続可能な都市基盤
- 医療・福祉改革と健康長寿社会の実現
日本維新の会横浜市会議員団・無所属の会
団長 坂井 太
<令和8年度予算編成における基本的な要望提言事項>
1 成長戦略とイノベーション
横浜市が持続的な成長を実現するためには、変化を恐れず、新たな価値を創造し続ける都市へと進化しなければならない。人口減少とグローバル競争の激化という厳しい環境下において、AI・デジタル技術の積極的な活用、スタートアップ育成、観光・港湾の競争力強化など、横浜の潜在力を最大限に引き出す包括的な成長戦略が不可欠である。同時に、GREEN×EXPO2027開催を契機とした新たな都市価値の創造、交通ネットワークの充実による都市機能の向上、そして民間活力を最大限に活用した都市開発を推進することで、世界から選ばれる都市としての地位を確立すべきである。さらに、地方自治制度の抜本的改革を通じて、真に自立した基礎自治体としての権限と財源を獲得し、横浜独自の成長戦略を力強く展開できる体制を構築しなければならない。これらの理念に基づき、以下の具体的な施策を提案する。
- 特別市と共に道州制における本市の在り方も視野に入れた新しい地方自治制度の議論を進めていき、二重行政・二重政治の解消を早期に実現すること。また、文化や歴史、風土、立地等の特性を生かし都市戦略に一層の磨きをかけるとともに、都市内の分権等により一層自律的で主体的な市民の活力を引き出すこと。
- 住民自治の強化と地域ニーズへの迅速な対応を実現するため、各区により多くの財源と権限を付与し、地域に根ざした政策立案と実行を可能にするとともに、これを支援するための適切な体制を整えること。
- 50年後の推計を踏まえ、市域拡大と人口増加に伴って増えた18の行政区を見直し、合区を含めた効率的なエリアの見直しや総合区の検討を進めること。
- 横浜港の国際競争力強化を図ること。コンテナターミナルの機能拡充やAI・IoTを活用したスマートポート化を推進し、アジアのハブポートとしての地位確立を目指すこと。また、クルーズ船の受け入れ体制を強化し、観光需要の拡大と地域経済の活性化を目指すこと。
- スタートアップなど新産業育成を加速させ、TECH HUB YOKOHAMAとYOXO BOXの具体的な成果指標(資金調達額、起業数等)を明確化し、定期的に効果検証を行うこと。また、企業立地促進条例の認定目標45件の達成に向け、誘致活動の具体的戦略を示すとともに、事業用地創出の誘導策を早期に具体化すること。さらに、重点地域におけるインフラ整備や優遇措置の拡充など、横浜の強みを最大化する追加施策を検討し、世界に通用する産業集積地の形成を目指すこと。"
- インバウンド観光の更なる拡大を目指し、新たなコンテンツの発掘やマーケティングデータの活用を促進するとともに、横浜の歴史的・文化的資源を生かした観光施策を展開すること。多言語対応の強化やキャッシュレス決済の普及促進など、受入環境の整備を進めるとともに、ナイトタイムエコノミーの活性化を図ること。
- 他自治体で問題となっているオーバーツーリズムや受益者負担の在り方などを実態把握するとともに、本市における観光需要増加を見込んで、宿泊税の導入等を視野に入れて財政上の課題に対しても検討、対策を講じること。
- 通勤時間の短縮と交通渋滞の緩和を目指し、公共交通ネットワークの充実を図ること。新横浜・羽沢横浜国大駅周辺のまちづくりを推進し、リニア中央新幹線の開業を見据えた新たな広域交通拠点を形成すること。
- ライドシェア導入の検討状況を注視しつつ、横浜市独自の新たな交通サービスの可能性について具体的な調査・研究を進めること。また、みんなのおでかけ事業において展開される各エリアでの取り組みにつぃては本市としてきめ細かくモニタリングし、効果を検証、更なる改善を図りながら、持続可能で利便性の高い地域交通ネットワークの構築を目指すこと。
- 閉幕した大阪・関西万博での実績、レガシーを引継ぎ、GREEN×EXPO2027の成功を開催自治体として市長が先頭に立って後押しすると共に、開催後にレガシーを全市に残す取り組みを推進すること。また、旧上瀬谷通信基地跡地のまちづくりを核にした郊外部の発展を推進すること。また、これを契機に環境に配慮した持続可能な都市づくりを一層推進し、再生可能エネルギーの導入促進や省エネルギー対策の強化を図るとともに、グリーンインフラの整備を進め、自然環境と調和した魅力ある都市空間を創出すること。
- 自転車シェアリングについては、市内全域での本格実施を踏まえ、ステーション配置の最適化、料金体系の見直し、他の交通機関との連携強化など、利用促進に向けた具体的施策を推進すること。また、電動キックボード、自動運転車等の次世代モビリティの導入促進や、カーシェアリング、空間シェアリング等、多様なシェアリングエコノミーサービスの普及を図り、環境負荷の低減と市民の利便性向上を両立すること。
- 多様な人材が活躍できる都市を目指し、女性・高齢者・外国人材の活躍推進に向けた支援を強化し、多文化共生の推進や柔軟な働き方の促進など、誰もが能力を発揮できる環境整備を進めること。
- 中小企業振興基本条例を堅持し、市内中小企業の競争力を強化するとともに、新陳代謝や生産性向上を支えるとともに、賃上げの底上げを積極的に促すこと。また、デジタル化支援や販路拡大支援、事業承継マッチングなど、きめ細かな施策を展開し、地域経済の活力維持と雇用の安定を図ること。
- 人材需要の高い産業への労働移動のハードルを下げるため、横浜市中央職業訓練校でのICT分野等の訓練に加え、リスキリング支援の拡充、民間教育機関との連携強化、在職者向けの夜間・休日プログラムの充実など、より幅広い学び直し支援政策を推進すること。
- 脱炭素社会及び持続可能な資源循環の推進を加速させるとともに、防犯・防災、ごみ問題、自治等の解決が図れる新たな未来都市を目指すこと。
- 山下ふ頭の再開発、市役所跡地等の関内再開発など中心的な事業に加えて、都心部におけるエリア全体の価値を向上させるとともに、副都心や郊外部における核となるエリアにおいても、それぞれのまちづくりにおけるコンセプトを定めるなど、民間投資や市民による活動などを喚起し、多極分散型の都市づくりを推し進めること。
- PFIやPPPを積極的に導入し、民間の資金調達力と運営ノウハウを活用することで、市営住宅や学校など公共施設や公共インフラの整備・更新時に財政や運営、機能など様々な側面で効果を最大限に引き出すこと。
- わが会派が令和7年9月4日に提出した「市民へ直接還元する物価高騰対策を求める緊急要望書」にもとづき、本市として市民生活に効果的かつ公平な物価高騰対策を速やかに実施すること。
2 徹底した市政改革
横浜市の財政状況は極めて厳しく、このまま従来型の行政運営を続ければ、将来世代に過大な負担を強いることは明白である。持続可能な市政運営を実現するためには、聖域なき行財政改革の断行が急務である。AI・RPAなどデジタル技術を最大限に活用した業務効率化による総人件費の抑制、成果主義に基づく人事評価制度の徹底、外郭団体の抜本的な見直しなど、行政のスリム化と生産性向上を同時に実現しなければならない。また、新公会計制度を活用した事業別コスト分析の徹底や、遊休資産の積極的な活用により、限られた財源を真に必要な施策に集中投下する体制を構築すべきである。市長自らが先頭に立ち、改革への強い決意を示すとともに、全庁的なコスト意識の醸成を図り、横浜市を日本で最も効率的かつ先進的な自治体へと変革することが求められる。これらの理念に基づき、以下の具体的な施策を提案する。
- 職員個々の能力・パフォーマンス向上に向けて、現行の人事評価制度をさらに発展させ、デジタルスキルに着目するなど評価指標の定期的な見直しと明確化や、相対評価要素のさらなる強化、プロセスの透明性向上を図るとともに、職員の状況や業務改善等の効果等を定期的に公表すること。また、年功序列型の人事を廃し、意欲と能力のある職員を積極的に登用するとともに、民間人材の活用を拡大し、組織の活性化と市民サービスの向上を図ること。
- AIやRPA等の先端技術やデジタルサービスの積極的な導入などDX施策をさらに推進し、働き方改革の実現と労働生産性の向上を図ること。これにより、人口減少時代に即した持続可能な事務の執行体制と市民サービス向上を進めるとともに、総人件費の抑制による行政コストの最適化を図るなど、最先端の行政運営を目指すこと。
- 職員の再就職規制を厳格化し、退職管理の適正化を図るとともに、年齢や性別といった属性にかかわらず実力や能力で必要なポジションに最適な人材が配置されるように努めること。また、民間企業等への再就職に関する透明性を確保し、市民の信頼を損なうことのないよう、再就職手続きの公平性と透明性を徹底すること。
- 財政健全化に向けた覚悟を示すとともに、市民理解を獲得する意味で、市長が自ら先頭に立ち、報酬削減や退職金の廃止を検討すること。
- 将来世代への負担先送りとならない未来志向に基づいた行財政改革を断行し、将来への政策財源を確保すること。
- 危機的な本市財政状況を踏まえ、全庁的にコスト意識をさらに醸成し、職員一人ひとりが財政規律の維持に取り組むこと。
- ふるさと納税制度に対する実効性の高い対策を継続的に強化すること。寄附受入額の目標を一層引き上げて、具体的な施策を展開するとともに、返礼品の更なる拡充とWEBマーケティングの効果検証を徹底すること。また、国への制度改正要望を継続しつつ、税収影響額を最小化するための独自施策を検討・実施すること。
- 外郭団体については、市民生活に不利益が生じると合理的に認められるもの以外、基本方針として全廃を目指すこと。民営化または民間活力の導入を積極的に進め、公共サービスの質の向上とコスト削減を実現するとともに、市の業務をスリム化し、効率的な行政運営を目指すこと。
- 新公会計制度を適正に運用し、複式簿記・発生主義会計による財務情報の「見える化」を一層推進すること。また、事業別・施設別のコスト分析を徹底し、PDCAサイクルを効果的に機能させるとともに、市民にわかりやすい財務情報の開示を行い、財政の透明性と説明責任の向上を図ること。
- 土地・建物等の本市資産を有効活用するとともに、遊休資産のさらなる売却等も視野に入れ、経営資源の最適化を図ること。
- 市職員の給与明細に、横浜市が事業主として負担している社会保険料(共済費)の金額を明記し、社会保障制度への理解を深める取組を進めるなど、見えにくい社会保障制度の負担構造を可視化することで、制度改革への意識向上と財政構造の健全化につなげること。
3 次世代への投資
日本維新の会が国政レベルで主導した教育無償化は、令和8年度から高校授業料の実質無償化が実現するなど、大きな成果を上げている。横浜市においては、この国の制度を最大限に活用しつつ、市政ならではの役割として、教育の「質」の向上と多様な学びの選択肢の提供に軸足を移すべき段階に入っている。学びの多様化学校や公設民営学校の設置検討、フリースクールとの連携強化、インクルーシブ教育の推進など、国の制度では手が届かない、一人ひとりの個性と能力を最大限に伸ばす横浜独自の教育施策の展開が求められる。また、市が先行して実施してきた出産費用無償化のさらなる充実、産前産後ケアを含む切れ目のない子育て支援、保育・学童の質と量の確保、そして教職員の働き方改革による教育環境の抜本的改善など、次世代を担う子どもたちが健やかに成長できる環境整備を総合的に推進しなければならない。未来への投資を惜しまない姿勢こそが、横浜市の明日を創る。これらの理念に基づき、以下の具体的な施策を提案する。
- 中長期的な人口動態を考慮した保育施設整備計画を策定すること。小規模保育事業中心の整備に加え、将来の需給バランスを見据えた新たな手法を検討すること。また、送迎支援事業の効果を検証し、必要に応じて拡充を図るとともに、保育施設の多機能化に向けた具体的な支援方策を早期に策定すること。
- 保育士、学童指導員、放課後キッズクラブのスタッフなど、子どもたちの成長を支える人材の待遇や勤務環境の改善、業務効率化の支援を行い、子育てや子どもたちの発育を支える多様なサービス拡充と待機児童、保留児童等の問題の解消を目指すこと。
- 教育機会の平等を目指し、保育園・幼稚園から高等学校までの授業料無償化を引き続き強く推進するとともに、教材・給食費等の無償化についても具体的な検討を進めること。国や県の制度を最大限に活用しつつも、横浜市独自の施策として、私立学校を含むすべての教育段階で段階的な無償化への道筋を明確に示し、家庭の経済状況にかかわらずすべての子どもたちが質の高い教育を受けられる環境を整備すること。また、現行の就学援助費や就学奨励費等の支援制度については、その拡充と利用促進を図りつつ、最終的には無償化によってこれらの制度が不要となることを目指すこと。
- 国の制度化に先んじて実施する横浜市独自の出産費用助成に引き続き出産費用の完全無償化を推進すること。定期的な実態調査を実施し、現行の支援策で十分な効果が得られているか検証するとともに、社会情勢の変化や物価上昇等を考慮し、必要に応じて支援内容の拡充や調整を行うこと。
- 産前産後ケアの充実、不妊治療への助成拡大、子育て世代包括支援センターの機能強化など、出産に関連する付随的な費用も含めた包括的な支援の可能性について引き続き検討し、安心して子どもを産み育てられる環境整備を推進すること。
- 子どもの貧困対策を強化し、教育格差の解消に取り組むと共に、学習支援の拡充、放課後児童クラブの充実、ひとり親家庭への支援強化など、すべての子どもが健やかに成長できる環境づくりを推進すること。
また、事業推進と同時に、これまでの政策効果を検証し、市内の教育格差の実態把握・調査を行うなど実効性ある対策への見直しを不断に行うこと。 - 共同親権に係る民法改正法の2026年の施行に向け、子どもの最善の利益を守るため、面会交流の促進や離婚後も共同して子どもを育てられる環境づくりを推し進めること。また、相談や案内に留まらず、面会交流のサポートや子どもたちの体験機会の創出など、具体的な施策を推進すること。
- 多様な教育機会の提供を推進し、地域ニーズに基づき学びの多様化学校や公設民営学校の設置、特色ある学校づくり、フリースクールとの連携強化など、子どもたちの個性と能力を最大限に伸ばす教育環境の整備に取り組むこと。また、不登校等により健康診断が未受診である児童生徒へ配慮のため、試行中の学校外での健診実施など誰もが自らの健康を守る機会を提供するよう努めること。
- 校務支援のDX化、教職員の働き方改革、事務分掌見直しをより一層推し進め、教員が授業に専念できる体制を整えること。また、チーム担任制等の導入により、児童生徒や保護者にとっても安心できる教育環境をつくること。
- わが会派が提出した令和7年6月27日に提出した緊急要望書「教職員による不祥事に対する迅速かつ誠実な対応を求める緊急要望書」にもとづき、実効性のある施策を着実に行うこと。校内への防犯カメラ設置などハード整備により時代に相応しい学校を目指し、児童生徒だけでなく教職員が安心して教育に集中できる環境を整えること。
- 横浜市立大学の入学者に占める市内出身者の割合や卒業生の市内就職率の割合が年々低下していることも鑑みて、一定条件を満たした市内在住学生に対する横浜市立大学の学費無償化を検討するとともに、学生の市内企業への就業を促進すること。
- 5歳児健診の令和8年度実施に向けて、健診方法の決定と、発達上の課題がある場合のフォローアップ体制の具体化、保護者に気づきのための支援を行うこと。さらに、就学後を視野に入れた教育分野と情報共有できる体制を構築すること。また、保健・医療・福祉・教育の連携し、健診や健診後の支援に必要な専門職の確保や研修体制の整備を進めること。
- 若年層から体系的かつ実践的に学べる金融リテラシー教育を充実・拡充し、将来の生活設計力と社会参加力を育成すること。
- 本市の施策推進において、子どもたちの意見を取り入れる仕組みを取り入れると共に、市民があらゆる機会で子どもたちの意見を尊重することへの意識を持つことができようにこども基本法や横浜市こども・子育て基本条例の趣旨と具体的な行動様式の伝達に努めること。
- 認知・⾮認知能⼒調査研究の結果に基づき、社会情動的コンピテンシーの考え方を授業デザインに反映し、教員への研修や支援を通じて現場実践を促進すること。また、モデル校での取組を基に知見を共有し、全市的な展開によって児童生徒の資質・能力の育成を深化させること。
4 強靭で持続可能な都市基盤
横浜市は、その地理的特性から地震、台風、豪雨などの自然災害リスクに常に直面している。加えて、気候変動の影響により、これまで想定していなかった規模の災害が頻発する時代を迎えており、市民の生命と財産を守るための実効性ある対策が急務である。浸水・治水対策の強化、港湾BCPの充実と耐震強化、木造密集地域の不燃化推進、地域防災拠点の機能強化など、ハード・ソフト両面からの総合的な防災・減災対策を加速させなければならない。同時に、GREEN×EXPO2027を横浜経済の成長機会として最大限に活用し、上瀬谷をはじめとする郊外部の開発を推進するとともに、都心部や地域拠点の再開発、交通インフラの整備など、50年後、100年後を見据えた強靭な都市機能の構築を進めるべきである。また、老朽化が進む公共施設の計画的な更新と長寿命化、PFI/PPPを活用した効率的なインフラ整備により、次世代に過度な負担を残さない持続可能な都市経営を実現する。これらの理念に基づき、以下の具体的な施策を提案する。
- 横浜市の地理的特性や近年の気候変動による変化を考慮した総合的な浸水・治水対策を推進すること。特に、沿岸部の高潮対策として海岸保全施設の強化、内水氾濫対策を重点的に実施すること。
- 都心部の大規模地震対策として、一時滞在施設の拡充による帰宅困難者対策の強化や、情報提供システムの整備、企業との連携強化など、混乱防止と安全確保に向けた施策を展開すること。
- 横浜港の防災機能強化と環境配慮型港湾(グリーンポート)の実現を目指すこと。また、耐震強化岸壁の整備、港湾BCPの充実、船舶への陸上電力供給施設の導入など、災害に強く環境にやさしい港湾づくりを進めること。
- 市内に多く残る斜面緑地の保全と防災対策を両立させること。また、緑地保全制度の活用による樹林地の維持管理強化、崖地の安全対策、雨水浸透施設の整備など、自然環境の保全と防災・減災を同時に推進すること。
- 地域特性に応じた地震火災対策を強化すること。特に木造住宅密集地域における不燃化推進地域の指定拡大、延焼遮断帯の形成、狭あい道路の拡幅整備など、地域の実情に即した対策を集中的に実施すること。
- ヨコハマ3R夢プランに基づき、さらなるごみ減量・リサイクル推進を図るとともに、新たに取り組むプラスチックごみの分別においては効果検証と市民への定着支援を進めること。特に、観光地や商業施設での食品ロス削減、プラスチック対策、事業系ごみの削減に重点を置いた施策を展開すること。
- 脱炭素先行地域であるみなとみらい21地区を中心に脱炭素イノベーションを一層推進すること。また、2027年のGREEN×EXPO2027や区政100周年等の機会を捉え、市内全域での脱炭素社会に向けた行動変容と環境配慮型のまちづくりを推し進めること。
- 市民・企業・行政の協働による地域防災力の向上を進め、横浜市独自の「よこはま地震防災市民憲章」の普及啓発、地域防災拠点の機能強化、多言語による防災情報発信の充実など、多様な主体が連携した防災・減災の取り組みを推進すること。
5 医療・福祉改革と健康長寿社会の実現
超高齢社会の進展に伴い、社会保険料負担は増大の一途を辿り、現役世代の負担は限界に近づいている。国政レベルでは社会保険料を下げる改革が進められており、横浜市においても医療費の適正化と健康寿命の延伸を両立させる実効性ある施策の展開が強く求められている。持続可能な医療・福祉制度を次世代に引き継ぐためには、「治療」から「予防」への転換を加速させ、市民一人ひとりが健康で活力ある生活を送れる環境を整備しなければならない。デジタルヘルス技術の活用、エッセンシャルワーカーの待遇改善と生産性向上、介護予防の強化、そして受動喫煙対策の徹底など、医療・福祉システム全体の改革を通じて、質の高いサービスを効率的に提供する体制を構築すべきである。さらに、多文化共生の推進や人と動物の共生など、誰もが安心して暮らせる包摂的な社会の実現を目指す。これらの理念に基づき、以下の具体的な施策を提案する。
- 持続可能な介護制度の構築を目指し、要介護者の自立により介護報酬が減少する仕組みに対して、成果に応じて介護者の待遇が改善されるなど介護に関わる人が報われ、要介護者の健康に寄与する施策展開を検討すること。
- 実効性のある受動喫煙対策を徹底するため、関係局プロジェクトによる取組を加速させること。特に、密閉型喫煙所への転換について具体的な整備計画と実施時期を明確化し、喫煙禁止地区の新規指定に向けた具体的な検討を進めること。また、公園禁煙化による影響の把握に努め、パトロールや啓発活動の効果を検証し、必要に応じて対策を強化すること。
- 人と動物が共生できる社会を目指し、犬・猫の理由なき殺処分ゼロを継続すること。また、地域防災拠点におけるペット同行避難の訓練を全拠点で実施するとともに、同室避難モデル事業の成果を踏まえた全市展開の計画を策定すること。さらに、災害時のペット支援体制の具体的な整備を進めること。
- 多頭飼育問題については、区役所や社会福祉関係者、ボランティア団体などとも情報共有をし、早期の発見・介入を目指すこと。また、飼育者の生活環境の改善支援と共に、保護された動物についても新たな家族のもとで飼育されるようにすること。
- 改正動物愛護法に「終生飼育」が明記されたことを踏まえ、飼い主に対しては「命あるもの」として動物がその命を終えるまで適正に飼育する責任があることの啓発を促進すること。
- 横浜市の3動物園について、学び・観光・アニマルウェルフェアの三つの観点を調和させた運営方針を一層推進すること。子どもたちが動物を通じて生物多様性や環境への理解を深められるよう、体験的な環境教育の充実を図るとともに、動物の行動特性や福祉に配慮した展示・暑さ対策にも配慮した飼育環境を整備すること。また、魅力的な展示演出や発信力の強化を進め、市民に親しまれ、国内外から訪れたいと思われる動物園として、横浜の都市ブランド向上に寄与すること。
- 遠隔医療の先進事例を生かすとともに、デジタルヘルス技術の活用を進め、医療体制の基盤を強化すること。
- エッセンシャルワーカーの待遇改善と職場の環境改善を推進すること。
- 「健康横浜21」に基づく取り組みをさらに強化し、健康寿命の延伸と医療費抑制を一体的に推進すること。特に、生活習慣病予防や重症化予防の取り組みに関して、具体的な数値目標を設定し、その達成状況を定期的に評価・公表すること。また、神奈川県は女性の健康寿命が全国平均より短いことの要因の分析を行い、対応策となる施策を講ずること。
- 熱中症などによる救急搬送需要の急増、救急医療体制のひっ迫が懸念される現状を踏まえ、真に必要な方に救急医療を届けるため、不要不急の救急要請の抑制や緊急性が認められない場合の救急搬送の有料化の検討を行うこと。
- 深刻な労働力不足に対して、建設業や介護、農業、製造業など生活を支える産業の支え手として外国人人材を活用するとともに、多文化共生の推進等のコミュニティの一員としての支援策を適切に講じること。また外国人に纏わるデマや憶測に基づく喧伝に対しては事実や根拠に基づく正確な情報提供に努めること。
6 その他
各区、地域における施策について記載する。
(鶴見区)
- JR鶴見駅への中距離直通電車停車(相模鉄道・JR直通電車停車等)の実現に向けた積極的な取組を行うこと。
- 京急鶴見駅の急行停車の実現に向けた積極的な取組を図ること。
- 国道駅高架下、鶴見川流域など区内観光資源を活用した国内外観光客誘致を一層推進すること。
- 安全対策強化に向けて鶴見区内京急各駅(花月園前駅・鶴見市場駅)のホームドア早期整備を図ること。
- 「みんなのお出かけ事業」において、上の宮・馬場・獅子ヶ谷エリアで運行中ののるーとTSURUMIの継続支援、岸谷エリアへの地域交通導入を着実に実施すること。
- 県道鶴見溝ノ口線におけるJRガード下について、歩行者の通行を最優先とし、自転車利用者・車両との分離を図るなど、安全性・快適性の向上および空間の暗さ解消を推進すること。
- 鶴見駅西口における再々開発を促進すると共に、公共空間の改善・リノベーションを進めること。
- 拠点駅の鶴見駅周辺の他生麦駅や矢向駅周辺において、機能誘導を図る容積率緩和などの規制緩和や優遇措置により民間開発を促進し、エリアマネジメントを推進すること。商店街の活性化と一体的に、賑わいある街を形成すること。
- 鶴見駅周辺や市街地の公共空間に不足する緑を増やし、もっと住みやすく、気持ちの良い街を形成すること。充足していない街区公園や近隣公園を積極的に整備すること。
- 駒岡、梶山、上末吉等のエリアにおける低投票率の状況を踏まえ、トレッサ横浜への鶴見区期日前投票所の設置について早期の実現を図ること。
- 矢向駅周辺における踏切の安全対策および利便性向上を図るため、川崎市および鉄道事業者と連携し、課題解決に向けた検討を加速すること。
- 末広町地区AREA CONCEPT BOOKを活かし、エリアの将来像の実現に向け、市として積極的に後押しすること。
- 現在および新鶴見図書館の立地を考慮し、駐車台数が豊富な集客施設であるトレッサ横浜への図書取次拠点の整備など図書サービスへのアクセス性向上を図ること。
(港北区)
- 綱島駅東口駅前地区市街地再開発事業については、早期に整備が進むよう、引き続き粘り強くしっかり取り組むこと。
- 東京丸子横浜線(綱島街道)の拡幅工事に向けて、測量、設計、関係機関との調整、用地取得等を促進すること。
- 鶴見川周辺(新羽・大倉山)地域の回遊性の確保による地域交流活性化のために橋梁工事に早期に着手すること。
- 区内の喫煙禁止地区の拡大について、日吉駅周辺地区に続き、地域からの要望を踏まえ、綱島駅周辺をまずは美化推進重点地区に指定すること。
- 市道菊名第70号線の拡幅整備を早期に行うこと。
- 災害時には拠点として機能する港北区役所へのアクセス路(緊急輸送路)である環状2号線(大豆戸〜師岡〜駒岡)の無電柱化を早急に進めること。
- 利用者、地域からも要望のある、老朽化した菊名池公園(北側)のトイレの改修工事(再整備又は洋式化)を早急に行うこと。
- 綱島駅から港北区民文化センター(ミズキーホール)への行き方が不慣れな人にはわかりにくい(特に夜間)ので、見えやすいところへの案内板の設置等、工夫をすること。
(都筑区)
- 県道横浜上麻生線桜並木交差点周辺他の渋滞の緩和対策を一層推進すること
- タウンセンター地区の魅力あるまちづくりに向けた検討を、社会情勢を踏まえつつ着実に進めること
- 東山田駅前周辺の活性化に向けた取組について周辺環境事情を踏まえつつ、より一層推進すること
- 大規模災害に備えた防災対策の取組について地域事情を踏まえ加速させること
(旭区)
- 相模鉄道本線連続立体交差事業については着実な工事の遂行により早期の完成を目指すこと。また、住宅地に隣接する工事現場については環境配慮を徹底すること。
- 立体交差事業に伴い、鶴ヶ峰駅北口地区のまちづくりについては地域と協働ですすめること。
- GREEN×EXPO 2027開催の地元行政区として区役所を始めとする主要施設の花壇整備など目に見える形も工夫し、更なる機運醸成を図ること。
- 現在公会堂で開催されている猫の譲渡会を各地区センターでの開催可能となるようにすること。また、他区でも公会堂会議室等で開催が可能となるようにノウハウ等情報共有を図り、横展開できるように働きけていくこと。

今後も当会派は、横浜市の未来に向けて、市民の皆様の声に真摯に耳を傾け、より良い市政の実現に向けて取り組んでまいります。